今回のレトゲーレビューは、数ある恋愛シミュレーションゲームの中で個人的に最もハマったシリーズの第1作目「トゥルー・ラブストーリー」 のレビューを行います。
ギャルゲーではない、恋愛シミュレーションです
恋愛シミュレーションゲームというジャンルをご存知でしょうか?
プレイヤーはゲームの主人公となって、ゲーム内で異性との恋愛を体験する、というのが基本的なシステムです。
多くは本作のような学園ものですが、中には「メルティ・ランサー」シリーズのようにSF要素が入っていたりします。また「アンジェリーク」シリーズのように女性向けのものも結構あります。
有名な「サクラ大戦」シリーズは恋愛シミュレーションとアクションアドベンチャーの両方の要素を混ぜていたりしますね。
ちなみに萌え系のキャラを前面に出したギャルゲーもあったりしますが、このあたりはいろいろなジャンルがミックスされていて線引きが難しいところですね。
さて、恋愛シミュレーションゲームと言えば「ときめきメモリアル」シリーズが有名かもしれません。私も3は全キャラクリアまでやりこみました。
ときメモ3なんかはキャラを一枚もののイラストではなくフルポリゴンで作成してゴリゴリ動きまくり、設定した主人公の名前を音声合成で読み上げたりと結構良くできたゲームでした。
こういった良くできた有名な恋愛シミュレーションの他、「ひざの上の同居人(パートナー)」なんてマニアックなゲームもプレイして来ました(こっちは恋愛シミュレーションじゃないかもしれませんが)。
そんな古今東西の恋愛シミュレーションゲームをプレイしてきた私が推すのが「トゥルー・ラブストーリー」シリーズです。初代から全作プレイ&同系列の「キミキス」「アマガミ」もオールコンプリートです。自慢にもならんが…
基本データ
タイトル | トゥルー・ラブストーリー |
---|---|
プラットフォーム | PlayStation |
ジャンル | 恋愛シミュレーション |
開発 | ビッツラボラトリー |
発売 | アスキー |
リリース年 | 1996年 |
初代PSで1996年に発売されたゲームです。
PSはそれまでのファミコンやスーファミと違って、CD-ROMによる当時としては大容量のデータメディアとポリゴン処理もできるハードのスペックの相乗効果で、今まで以上にグラフィックに力を入れた作品が登場し始めました。
恋愛シミュレーションゲームのように、グラフィックやイラストがセールスポイントとなるジャンルが成長するにはまさにうってつけのプラットフォームだったのです。
そんな中で登場したトゥルー・ラブストーリー、通称TLS。
そう、1990年代後半という時期を考えても、決して流行りの(または流行っていた)とは言えない、アニメチックでも萌え系でもない、良い意味で普通の毒のない絵柄です。実家のような安心感、まさにノスタルジックな世界。
だが…それが良い!!
あまりにキャラのビジュアルばかりが前面にでると、恋愛シミュレーションとしてのゲーム性が薄れることも多々あります。またアクが強くない分、より身近でリアルな存在に感じます。
アニメキャラに多いピンクやグリーンの髪の毛の人って、染めない限り存在しませんしね。染めちゃダメ、とかいうことではないです、念のため。
ちゃんと恋愛シミュレーション「ゲーム」している
本作では高校生2年生の男子生徒となって、同学年または先輩・後輩の女生徒と仲良くなっていく、王道の学園モノの恋愛シミュレーションゲームです。
こういった恋愛ものは、その特性から学校を舞台にした作品が多いです。そのため、学校内を舞台とした選択肢タイプのアドベンチャーゲーム要素も強かったりします。
本作もそういった要素はありますが、何よりも下校パートが最大の売りと思っています。
下校パートでは、下校途中の限られた時間と距離の中で会話を行い、相手の好感度を上げていきます。好感度が上がればそのまま下校デートに誘えたり、休日のデートの約束をしたりできます。
しかし、好感度ばかり上げすぎると、相手のドキドキメーターも上がりすぎて「恥ずかしくなって帰ってしまう」という、ゲームらしさに必要な「駆け引き」要素が面白さのポイントとなっています。
ガラケーもポケベルもないのが逆によい
本作の発売時は1996年。私の記憶が正しければ、アナログの携帯電話がそれなりに普及はしていたものの、高校生が持つようなレベルではなかったはず。代わりにポケベルは普及していたような気がしますが、本作では登場しません。
それどころか、続編が進むにつれて明らかに「そろそろJKでもガラケーぐらい持っているだろう」という2000年代の作品でも登場した記憶はありません。
ゲームシステム的に難しくなるから、という大人の事情があったかはさておき、ゲーム的にはこれで良かったのかもしれません。
制作した世代の青春時代が無意識に反映されているのかもしれません。
しかし、昔のドラマのような「直接会う恋愛スタイル」をゲームという非現実の世界に反映させることによって、プレイヤーの中に世代を超えた懐かしさを思い起こさせるのかもしれません。
ちょっと、考えすぎかもしれませんが…
最後に
TLSシリーズは最終的に6作品作成されました(ファンディスク含む)。3と最終作はPS2をプラットフォームに移してより高精細なグラフィックにはなりましたが、良い意味でシリーズのノスタルジックさは残っていました。
最終作のTLSS(長いので大体こう省略される)はキャラデザは大幅に変わりましたが、なぜか「これってやっぱりTLSだよな」ってパッケージだけ見てもそう感じてしまいました。
TLSの時代は中高生の青春時代。恋愛自体はどの年代でもできますが、この時代の恋愛っていつになっても本質は変わらないんだろうなあ、って勝手に考えています。
だからこそ、ゲームという世界の中に固定化されることによって「いつになっても楽しめる」コンテンツへの生まれ変わるのだと思います。考えすぎかもしれませんが。
ただ、この記事を書くにつれて「時間かけてもよいから、またプレイしたいな」という思いが沸き上がってきたのも事実です。そう、他の恋愛モノよりもずっと一層、そう感じました。
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