書籍レビュー

【書籍レビュー】レトロ・アーケードゲーム究極セレクション’70~’80

レトロ・アーケードゲーム究極セレクション'70~'80

レトゲーはレトゲーでも、今回はレトロゲームに関する書籍をレビューしてまいります。今回は「レトロ・アーケードゲーム究極セレクション’70~’80」をお送りします。

タイトル通りのレトロアーケードの本

レトロ・アーケードゲーム究極セレクション'70~'80懐かしのゲームの画面がずらり。アーケードゲーム全盛期の時代がよみがえる表紙。

本書はタイトル通りアーケードゲームに絞った、レトロゲームの集大成本ともいえるものです。黎明期から全盛期ともいえる1970年代から1980年代の名作や代表作を写真入りで解説しています。

アーケードの歴史を学ぶ

アーケードの歴史が学べる初のアーケードゲームって何?といった歴史も学べる一冊。

本書は単純にアーケードゲームの紹介をしているだけではありません。画面キャプチャのように、「初のアーケードゲームとは」に始まり、ゲームセンターの歴史や時代背景なども解説されています。

知っているようで知らなかった、ゲームセンターの歴史を考察しているので入門書としても使える1冊です。

また表紙にあるように、フルカラーで各ゲームの画面写真や解説がされているのも高ポイントです。

家庭用ゲーム機に移植されたゲームはともかく、中にはアーケードのみで終わった貴重なゲームの画面も拝めます。良く探し出したな、ってマニアックなゲームもあります。

レトロゲームの聖地「ミカド」のインタビュー記事も貴重

ミカドオーナーのインタビューレトロゲームの聖地「ゲーセンミカド」のオーナーのインタビュー記事も掲載。ゲームセンターにかける熱い情熱が伝わってきます。

レトロゲームの聖地として有名なゲームセンターの一つに「ゲーセンミカド」があります。そのオーナーのインタビュー記事も掲載されています。これは何気に貴重。

拝読すると、古き良き時代の「ゲーセン」を自らの手で作り上げようとしたオーナーの情熱が伝わってきます。

今でこそレトゲーというジャンルは少しずつメジャーになってきていますが、同じレトゲーでもアーケードとなるとまだマニアックな部類です。

というのも、家庭用ゲーム機であれば購入・プレイする選択肢は結構ありますが、アーケードゲームは筐体本体を置いてあるところを探しにいく必要があります。

ゲームセンターは商売ですから、普通はインカムが高い商品(筐体)=人気のあるものを置くのが普通です。そうなると流行りのものか、最新機種ということになります。

しかし、レトロゲームでアーケードゲームというニッチなジャンルで経営するのは大変なことだと思います。

ゲームの仕入れもですが、古いゲームとなるとメンテナンスも結構大変なはずです。漫然と同じ筐体を置くのではなく、入れ替えや配置なんかも考えなくてはいけないはず。

ゲーセンミカド」のサイトを見ると、各種イベントを開催したり、YouTube配信もしたりと積極的に展開を進めていることが分かります。

そういった背景を考慮しながら読むと、インタビュー記事もより興味深く読む事ができますね。

↑ゲーセンミカドでの対戦動画配信。私も大好きな対戦格闘ゲーム「餓狼伝説SPECIAL」も定期的に大会をやっている模様。

ゲームの黄金期のラインナップを見るだけでも価値あり

アーケードゲームの黄金期70年代から80年代はまさにアーケードゲームの黄金期。かつての覇者が今も覇者とは限らない。

ゲーム史やレトゲーにかける情熱を読み解ける記事も楽しいのですが、当時のアーケードゲームのパンフレットとして眺めるのも本書の大きな楽しみの一つです。

当時を知る人にとってはノスタルジーに浸り、知らない世代には「こんなゲームが流行っていたんだ」と新たな発見をする楽しみ方もあります。

アーケードゲームも時代の流れの中で、いわいる時事ネタや、流行りを取り入れている部分があります。

当時流行したセリフや音楽、カルチャーなど。登場するキャラの名前やビジュアルが当時はやったものや実在の人物からとっている、なんてこともあります。

それ自体は今も昔も変わらないのですが、当時は規制も緩かったのか明らかに「許可取ってないだろ!!」ってものもちらほら。そういう意味では、当時のゲームの方が遊び心があったのかもしれません。

昔、TV番組で「進め!電波少年」ってありましたが、そこで出てくる企画は今ではバッシングの嵐になりそうなものもありますね。裸にひん剥いて懸賞品だけで生活させたり、完全ヒッチハイクで旅行させたり…それに近い自由度がありました。

ちょっと話はそれましたが、今では絶対実現できそうもない、まさに「この時代だからこそ」あった黄金期が、この一冊に詰め込まれています(ちょっと大げさ?)

ゲームセンターは永久に不滅です!!

そう、これが言いたかった…

本書は資料としての価値だけではありません。歴史考察・インタビューを通して「ゲームセンターやアーケードゲームのポテンシャルの高さ」が伝わってきます

ゲームをするだけであれば家庭用ゲーム機や配信でも楽しめます。

しかし、ゲームセンターという場でアーケードゲームを楽しむ、という経験もまたそれ自体が重要であるとも言えます。

食事するだけなら家でもできますし、外食するより安いです。しかし、それでもお店で食べたくなるのは、そのお店にしかない何かがあるからでしょう。それに近いですね。

外食産業に限らず、ゲームセンターのようなアミューズメント系も2020年のコロナ禍の影響を受けていることでしょう。

食べ歩き・飲み歩きと同様にゲーセンめぐりも好きな私としては、コロナ禍に負けないように頑張って欲しいとエールを送りたいですね。

書籍レビューから派生してしまいましたが、そんなことも考えながら読み終えた1冊でした。お薦め。

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